2014年
ふらんす堂
『想』は佐藤博美(1950 - )の第4句集。
帯文・鷹羽狩行、栞・高田正子。
佐藤博美は「狩」同人。
春愁や白線にある内と外
秋草のあふるる中洲へは行けず
人参をはなの形のまま残し
落葉踏み離れ離れとなりしかな
寒禽の騒ぐは人を悼むごと
白梅に近づくせめて手を洗ひ
手花火のはじめは土の匂ひかな
栗の虫しあはせさうに出できたる
現在地なんどたしかめても枯野
鳥籠のからつぽ春の遠からじ
ひと間のみ灯りて二百十日かな
枯野もう引き返すこと考へず
ギヤマンの影重ならぬやうに置く
思ひとは別のことばの出て小春
百年はつかの間なるか屏風立つ
※本書は版元より寄贈を受けました。記して感謝します。
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