『レクイエム』は千葉信子(1930 - )の第3句集。解説:武良武彦。
句集巻末には著者略歴なし(解説文中に書かれている)。
冴え返る心張棒も肋骨も
網戸より猫の目青くひらくとき
刃こぼれのやうな日射しを黒揚羽
あおむしのぼとりと眠いだけねむる
初湯かな蛙のやうに指ひらく
白鳥に嗄れ声を奪はれる
魚の皮すっと剥きたる天の川
ざうざうと日差しの移る大枯野
しゃぼんだま碧い地球をよぎりけり
逃げ水やひとり残らず魚になる
蜩や耳がとてつもなく遠い
見失ふ四万六千日の門
ロシア軍ウクライナ侵攻二年目
父の日や精子保存して戦場へ
二千羽の白鳥が来る呼びあふて
梟の眼のなかにゐる動けない
※本書は著者より寄贈を受けました。記して感謝します。
「星籠」ばかりか「レクイエム」まで取り上げてくださりありがとうございます。梟の眼のなかにゐる動けない は母の一番好きな句でした。
投稿情報: sl | 2024年7 月 1日 (月) 11:29
sl様、いつも句集をご恵投いただきありがとうございます。ある俳誌に句集評も書かせていただきましたので二、三ヶ月くらいのうちにはお届けできると思います。
投稿情報: 関 悦史 | 2024年7 月 1日 (月) 21:42