2020年11月
角川書店
『森の螢』は名取里美(1961 - )の第4句集。
著者は「藍生」所属。
音立てて正午の崖を落椿
日の昇る迅さにひらく百合の花
綿虫とふとすれちがふ母校かな
母の柩に受験生仁王立ち
母病めば父病む雨のほととぎす
空蝉も蝉の骸も永田町
スーパームーン父に言葉が戻る
廃炉作業志願者三人入社式
三人の浴衣のこゑや隧道に
寒昴あなたは先に行きなさい
月太陽地球一列御神渡り
鳥飛んで光となりぬ山笑ふ
すれちがふ馬車の馬の眼蔦紅葉
二月堂ほとりどろんと朧月
遠ざかる人も宇宙も花びらも
※本書は著者より寄贈を受けました。記して感謝します。
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