『荊棘(おどろ)』は中村和弘(1942 - )の第4句集。栞文:堀田季何。
著者は「陸」主宰。
キリンの脚の巨(おお)き関節夏に入る
青野にて何か装填していたり
蓮の花折れば糸ひく晴間有り
その間にも星あまた死す追儺かな
砂丘の砂ふつと流れて更衣
台風の奥に塩壺冷えており
爆竹の煙ただよう青田かな
絶壁の絞り出したる氷柱かな
能面の青葦原を映しけり
捨網の硬くなりつつ秋の風
マンモスの牙に乗りたる冬の月
枝先は死鯉にとどき夏柳
ネパールにて
ヒマラヤを火群となせし初日かな
白砂を僅かに吐きて海鼠死す
潮目には芥連り夏に入る
※本書は著者より寄贈を受けました。記して感謝します。
コメント
コメントフィードを購読すればディスカッションを追いかけることができます。