叢書「りぶるどるしおる」のサン=ジョン・ペルス『鳥』とマルグリット・デュラス『ガンジスの女』は吉祥寺で開かれていた《「凝て、触れて、読む――『書肆山田の本』展」》で買ってきた。装幀家の亞令(=編集者・大泉史世)が亡くなってしまったので今後この装幀の本が出ることはもうない。
中山公男・藤原新也・熊瀬川紀『ムンクへの旅』、加藤唐九郎『唐九郎のやきもの教室』、橋本僐元・桐山秀樹『オーストラリア 大自然の旅』は新潮社の「とんぼの本」の初期に刊行されたもの。写真を多用した入門書のシリーズなので、あまり興味のなかった内容のものが意外と楽しめる。
江田浩司『短歌にとって友情とは何か』は著者から寄贈を受けました。記して感謝します。
赤塚不二夫『笑わずに生きるなんて』中公文庫・1984年
《一人のマンガ少年が上京し、夢多い青春をトキワ荘で過ごす。そして、仲間たちとギャグに明け暮れながら、「おそ松くん」「天才バ力ボン」などの傑作を生み出し、日本のマンガ界を代表する一人に育ってゆく――。永遠のマンガ少年のハチャメチャ半生記。》
永井路子『源頼朝の世界』中公文庫・1982年
《東国武士団の棟梁源頼朝を変革の時代のなかに描く――平氏による貴族政権に立ち向ってついに潰滅させ、はなやかに歴史の表舞台におどり出た頼朝と、北条政子や東国武者らをめぐる権謀術数うずまく激烈な抗争のドラマ。》
江田浩司『短歌にとって友情とは何か』現代短歌社・2024年
《歌人の友情はいかにして可能か? 友情を妨げる歌壇の力学とは?
問われたことのない問いから、歌人の精神のありようが見えてくる。》
斎藤茂太・北杜夫『この父にして―素顔の斎藤茂吉』講談社文庫・1980年
《「赤光」をはじめとする多くの歌集や評論集「柿本人麿」などの名著で、大正・昭和の歌壇に不滅の足跡を遺す斎藤茂吉。この不世出の大歌人を父に持つ、ふたりの兄弟、精神科医・斎藤茂太と作家・北杜夫が談論風発、肉親にして初めて知り得た興味ある事実を明らかにしながら、隠された茂吉の生涯を語る、異色の対談集。》
田中芳樹『七都市物語』ハヤカワ文庫・1990年
《突如地球を襲った未曾有の惨事“大転倒”――地軸が90度転倒し、南北両極が赤道地帯に移動するという事態に、地上の人類は全滅した。しかし、幸いにも月面に難をのがれた人類の生存者は、地上に七つの都市を建設し、あらたな歴史を繰り広げる。だが、月面都市は新生地球人類が月を攻撃するのを恐れるあまり、地上五百メートル以上を飛ぶ飛行体をすべて撃墜するシステムを設置した。しかも、彼らはこのシステムが稼動状態のまま、疫病により滅び去ってしまったのだ。そしてこの奇妙な世界で、七都市をめぐる興亡の物語が幕を開くのだった。》
福永武彦編集『ボードレール全集Ⅱ』人文書院・1963年
モラリストとしてのボードレール(矢内原伊作) 小説ラ・ファンファルロ(中村真一郎,小佐井伸二訳) 小説草案(小佐井伸二訳) 劇 イデオリュス(阿部良雄訳) ドン・ジュアンの最期(粟津則雄訳) 酔いどれ(粟津則雄訳) 第一軽騎兵隊の侯爵(粟津則雄訳) 劇草案(阿部良雄訳) フィリベール・ルーヴィエール(高畠正明訳) 俳優ルーヴィエール(高畠正明訳) 人工の天国(安東次男訳) 日記(矢内原伊作訳) 書簡(抄)(阿部良雄,豊崎光一訳)
サン=ジョン・ペルス『鳥』書肆山田・2008年
《飛翔する鳥は魂そのもの、魂の断裂そのもの、生命の不屈の現れ。
ペルス
宇宙エネルギーの可視的砕片として鳥を描く。
《行け、もっと先へ!……》生きかつ創造することの広大さに向って、われらの夢が出現させるよりさらに多くの岬を巡って、鳥たちは越えて行く/ペルス最後の長篇詩。》
カート・ヴォネガット『キヴォーキアン先生、あなたに神のお恵みを』早川書房・2023年
《生誕100周年記念刊行
ヴォネガットによる幻の架空インタビュー集。
始まりは、心臓の手術中に起きた偶然の臨死体験だった。その後、ヴォネガットは、キヴォーキアン医師が監督する制御臨死体験により、天国の門のすぐ手前まで赴き、死者たちと話ができる立場となる。かくて、ラジオ局の「死後の世界レポーター」に就任したヴォネガットは、シェイクスピアやヒトラー、ニュートン、アシモフ、キルゴア・トラウトなどなど、名だたる故人たちにインタビューを敢行した――カート・ヴォネガットによる、死者20人+αへの架空インタビュー集。
ホームレス出身の作家リー・ストリンガーと、創作について率直に語り合う公開対談「神さまとの握手――書くことについての対話」を併録。》
ポール・ボウルズ『シェルタリング・スカイ』新潮文庫・1991年
《一緒に暮すことに限界を感じ、また人生の生甲斐をも見出せないポートとキットは、故国アメリカを捨て、本来の自分の姿を取り戻そうという希望を抱いて、北アフリカヘ旅立つ。夫婦と同行者タナーを待ち受ける時のない世界、サハラの沙漠は、彼らをそれぞれの苛烈な運命へと導いてゆく。圧倒的な自然の前に、脆くも崩壊する現代文明への鋭い批判に満ちた、戦後アメリカ文学の代表作。》
マルグリット・デュラス『ガンジスの女』書肆山田・2007年
《不可能の愛に憑かれた欲望と狂気と疲弊の日々。デュラス そしてわれらを、言葉となって襲う記憶の砕片。
〈ときどき、死にたくならない?/ええ、思うわ…〉立入を禁止された時間とも言うべき昏い視界で、さ迷い行き過ぎ、隣り合うことに気づかぬ人々/戦慄のシネ・テクスト。》
石川喬司『SF・ミステリおもろ大百科』早川書房・1977年
《ミステリを読まないキミたち――
SFを読まないあなたたち――
斯界の先達が機知とユーモアにあふれた文で、知らず知らずのうちに、その魅力のトリコにする!》
モーリス・ブランショ『終わりなき対話Ⅰ 複数性の言葉(エクリチュールの言葉)』筑摩書房・2016年
《文学とは何か、批評とは何か、そも言語活動はいかにして可能なのか? その根源に沈潜し、声なき声を響かせる。20世紀文学史上最大の問題作、全訳待望の刊行開始。》
中山公男・藤原新也・熊瀬川紀『ムンクへの旅』新潮社・1984年
《今少し、このままムンクの宿命と矛盾を慈しんでいようかと思う。ムンクとは裸のあなたであり、私であるからね。 (本文、藤原新也「満月を孕んだ天才」より)》
加藤唐九郎『唐九郎のやきもの教室』新潮社・1984年
《唐九郎がみた良い茶碗とは? 陶器の歴史は? 土は、絵付けのコツは……。巨匠が自ら手本を示しつつ、ありとあらゆる質問にズバリ解答。あわせて秘法も大公開。》
池波正太郎『江戸切絵図散歩』新潮社・1989年
《地域別につくられ、携帯に便利な〔切絵図〕は、私のような、江戸期を舞台にした時代小説を書いている者にとっては、欠かせないものだ。私は〔切絵図〕と共に毎日を送っているといってよい。
私は、東京の何処へ行くのにも、行先の地域の切絵図をポケットに入れ、家を出たものだった。
そして、当時の東京の地形が、江戸のころと、それほど変っていないのに気づいたのである。
東京は台地が多く、つまり凹凸の多い地形で、いたるところに坂道がある。したがって、景観は変っても、道筋はあまり変っていなかった。もっとも現代は坂道も台地も恐るべき機械力で押し崩してしまうようになったが、それでも意外に地形は変っていないのだ。 (本文より)》
米原万里『マイナス50℃の世界』角川ソフィア文庫・2012年
《トイレには屋根がなく、窓は三重窓。冬には、気温が-50℃まで下がるので、釣った魚は10秒でコチコチに凍ってしまう――。世界でもっとも寒い土地であるシベリア。ロシア語通訳者として、真冬の横断取材に同行した著者は、鋭い観察眼とユニークな視点で様々なオドロキを発見していく。取材に参加した山本皓一と椎名誠による写真と解説もたっぷり収められた、親子で楽しめるレポート。米原万里の幻の処女作、待望の文庫化。》
川本三郎『ハリウッドの黄金時代』中公文庫・1989年
《ゲーリー・クーパー、ベティ・デイヴィス、エヴァ・ガードナー、リタ・ヘイワース、ケーリー・グラント……。絢爛たる夢の王国ハリウッドの黄金のスターたち。スターが生きながら伝説的存在となりえた時代に、華麗にスキャンダラスに生きた10入のスター列伝》
吉田健一『汽車旅の酒』中公文庫・2015年
《旅行をする時は、気が付いて見たら汽車に乗っていたという風でありたいものである――。旅をこよなく愛する文士が美酒と美食を求めて、金沢へ、新潟、酒田へ、そして各地へ。ユーモアに満ち、ダンディズムが光る著者の汽車旅エッセイを初集成。巻末に観世栄夫の逸文を付す。〈解説〉長谷川郁夫》
橋本僐元・桐山秀樹『オーストラリア 大自然の旅』新潮社・1989年
《カンガルーとコアラの国は、日本の21倍の面積。砂漠と草原が広がる大地、サンゴ礁が続く海岸や島々には、想像を超えたスケールで自然が息づき、たくさんの動物・植物が繁殖している。大迫力の写真でこの国本来の魅力を紹介すると共に、街歩きだけでは分からないオーストラリアの新しい見どころを、多角的にガイドしていく。》
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