『氷湖いま』は鈴木総史(1996 - )の第1句集。序文:櫂未知子、跋文:佐藤郁良、栞文:橋本喜夫。
著者は「群青」「雪華」同人。
氷湖いま雪のさざなみ立ちにけり
沖といふ海の死にぎは春の風邪
盆帰省あらゆる図鑑売りにゆく
別(べつ)といふ地名教はる花見かな
烏賊切つて置きどころなき手となりぬ
とんばうや蝦夷にあをぞらあり余る
しののめや凍てつきやすき場所に橋
料亭に時計すくなし白障子
白鳥のあかるさに湖暮れきらず
ためらはず踏め樏(かんじき)の一歩目は
蟷螂やかがめば雨の音うつくし
鳥声を薄暑の川へ展げたる
虫籠を湖の暗さの物置より
陽炎より特急鈍く来たりけり
蟷螂のまつすぐ立てる花のうへ
※本書は著者より寄贈を受けました。記して感謝します。
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