【十五句抄出】きゅういち句集『ほぼむほん』

2014年
川柳カード


　きゅういち（1959 - ）句集『ほぼむほん』は、川柳カード叢書の第一弾。川柳句集である。

　序文・樋口由紀子、解説、小池正博。



遠雷や全ては奇より孵化をした

生れなさい外に気球が待ってます

黄泉平坂葛とフィギュアの即位式

りかちゃんに湯船に満ちる生卵

ペン立てを出てはおっさん涙ぐむ

バッティングフォームがとても浄土宗

詩を挽いて獏に喰わせるおい衣装

〈亜神殿〉走る茸を放流す

火事ですねでは朗読を続けます

オンアビラウンケンソワカシーベルト

立てかけて白く塗られてゆく児童

床下に壺あり舌の荒れてをり

狂人の巨人の双子縺れけり

整然と公民館に虚無の靴

金粉の美女千人のノイズ満つ

パサパサの忍び難きが炊きあがる






※本書は著者より寄贈を受けました。記して感謝します。






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Mummenschanz (2)