2024年3月
私家版
『レクイエム』は千葉信子(1930 - )の第3句集。解説:武良武彦。
句集巻末には著者略歴なし(解説文中に書かれている)。
冴え返る心張棒も肋骨も
網戸より猫の目青くひらくとき
刃こぼれのやうな日射しを黒揚羽
あおむしのぼとりと眠いだけねむる
初湯かな蛙のやうに指ひらく
白鳥に嗄れ声を奪はれる
魚の皮すっと剥きたる天の川
ざうざうと日差しの移る大枯野
しゃぼんだま碧い地球をよぎりけり
逃げ水やひとり残らず魚になる
蜩や耳がとてつもなく遠い
見失ふ四万六千日の門
ロシア軍ウクライナ侵攻二年目
父の日や精子保存して戦場へ
二千羽の白鳥が来る呼びあふて
梟の眼のなかにゐる動けない
※本書は著者より寄贈を受けました。記して感謝します。
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