『夜景の奥』は浅川芳直(1992 - )の第1句集。序句:蓬田紀枝子、序文:西山睦、跋文:渡辺誠一郎。
著者は「むじな」発行人、「駒草」同人。
缶チューハイ一本を守る砂日傘
風立つや人に渇きて海の家
あり余る日向としての冬田かな
雲の峰驢馬の視線の定まりぬ
砂溜る破船の中や南吹く
都忘れ踞めば胸を風通る
白薔薇へ雨の垂直濁りけり
突風の天牛触覚のみ動く
夜の靄を動かしてゐる百合の群
蝸牛のぼる獣型遊具の目
昨夜は生者の綿子でありし軽さかな
雪はげし炎を拒む大腿骨
雨後しばし森の匂ひの夏座敷
喜屋武岬 三句 より
夏怒濤打ち寄するときなほ青し
一島に雲の速力ラムネ噴く
※本書は著者より寄贈を受けました。記して感謝します。
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