『醒睡』は岡田一実(1976 - )の第5句集。
著者は「らん」(終刊)を経て「鏡」同人。
萍(うきくさ)の根やみづげぢが揺らし食ひ
十薬や庭ふところを塔の影
曲りゐる鮎の肋骨箸で梳(す)き
菊の香の定家忌それも空のもの
読む文字のまはりの文字や秋灯
華美な皿そのうへに菓子クリスマス
存(ながら)ふる靄(もや)が積まれし雪のうへ
信号が青を道の面(も)寒の雨
流れあるみづを雨打つ夕櫻
つるつるの木のひらひらの梅雨菌(つゆきのこ)
あぢさゐや水漬(みづ)く棺の兄妹
玉虫や指の膚(はだへ)に足かけて
濛々と障子を影の毛虫かな
破廉恥な色や盆菓子らしき彩
読初や繪にほほゑめる子を挿繪
※本書は著者より寄贈を受けました。記して感謝します。
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