今年の読み初めはネズミ年にちなんで西村寿行『滅びの笛』『滅びの宴』の再読にした。
ベリャーエフ『ドウエル教授の首』も再読。こちらは小学校の図書室で読んで戦慄して以来で、首だけになる登場人物が3人もいることなどすっかり忘れていた。
装幀が懐かしい物件としてはユング『ヨブへの答え』、デュラス『タルキニアの小馬』。
西村寿行『滅びの笛』角川文庫・1980年
《それはまさに悪夢であった! 道路も畑もそして街も、いたるところドブ鼠の群が、黒い絨毯のように覆い尽くしていた。中部山岳地帯で笹が一斉に開花したために異常繁殖した鼠が、冬を前に、食料を求めて、ついに人間を襲ったのだ。
蔓延する伝染病、そして追いつめられた人間たちは狂気の行動へと駆りたてられる! 今、全てが滅びへと向かってひた走っていた……。
自然への畏怖を忘れ、生態系の破壊を繰り返す人間に、激しく警鐘を打ち鳴らす不朽の名作!》
西村寿行『滅びの宴』角川文庫・1984年
《二年前、甲府市を全滅させ、中部地方および関東一円を未曽有のパニックに陥れた数十億ものドブネズミの大群は全て滅び去ったはずであった。
――が、強靭な生命力をもって悪魔たちは蘇えった。ペスト菌をバラ撒き、人畜を襲い、食糧を奪い、大鼠群は首都・東京へ向けて大進攻を始めたのだ。さらに過激派も暗躍して東京は火の海と化し、人々は再び混乱に陥った!
名作『滅びの笛』その後に訪れた大パニックを描く、衝撃の警鐘小説。現代人必読の書。》
佐藤任『密教の神々―その文化史的考察』平凡社ライブラリー・2009年
《密教像はそもそも何を表現しようとし、何を躰内に秘めているのか、その図像が体現している社会的土台ともいうべき歴史的深部、民俗的意味、その起源について知りたいという欲求があった。すなわち、図像が宗教的意味をもって示されるようになる以前にもっていた原初の意味は何か、ということである。………(本書より)》
A・ベリャーエフ『ドウエル教授の首』創元推理文庫・1969年
《パリのケルン教授の助手に雇われたマリイは、実験室内部の恐ろしい秘密を発見した。人間の首、それも胴体から切断された生首だけが、まばたきしながら、じっと彼女を見つめているではないか! それは最近死んだばかりの有名な外科医ドウエル教授の首だった。しかもパリ市内では最近つぎつぎと不可解な事件が続発しはじめていた。ソヴェトSF界の水準を示すベリャーエフの古典的名作》
枳莎『悪役令嬢としてヒロインと婚約者をくっつけようと思うのですが、うまくいきません…。』ビーズログ文庫アリス・2017年
《前世で途中まで読んでいた恋愛小説の悪役令嬢・祀莉に転生したけれど――なんて素敵なことでしょう! だって小説の続きが見られるんですもの! 続きを見るために、悪役令嬢としてヒロインと婚約者をくっつけてみせます!! さぁ、私とは婚約破棄してください! そう思っていたのですが、なぜか婚約者はヒロインとのチャンスを無駄にして私にばかり構ってきます。しかもヒロインは気にしていない様子で……。いったいどうなっているんですか――!?》
久我有加『いつかお姫様が』ディアプラス文庫・2010年
《広い肩幅、長い脚、切れ長の双眸と隆い鼻、だが中身は三枚目寄りの二枚目半。それが世間の開士に対する評価だが、市村だけは違った。焦げ茶色の柔らかな髪に象牙色の滑らかな肌。彼の方こそよほど綺麗な容姿をしているくせに、開士をまるでお姫様のように大切に扱ってくれるのだ。最初は戸惑っていた開士だが、いつかそれにドキドキしている自分に気付き…!? キレイ系王子様攻×オトメ系男前受の学園ラブ♡》
C・G・ユング『ヨブへの答え』みすず書房・1988年
《旧約聖書の「ヨブ記」は、たえず人々の関心を引きつけてきた。行ないの正しいヨブが、なぜ子供を殺され、財産を失い、不治の病いにかからねばならなかったのか。しかも、サタンの誘いに神がのってヨブを試した結果として。
ユングの感受性は何よりもまず「ヨブ記」の異様な雰囲気に引き寄せられる。そこでは聖書の中で他に類を見ないことが起こっている。人が神に異を唱え、反抗しているのである。神との確執の中でヨブが見たものは、神の野蛮で恐ろしい悪の側面であった。ヨブは神自身でさえ気づいていない神の暗黒面を意識化したのである。
ここでユングは独創的な見解を打ち出す。神は人間ヨブが彼を追い越したことをひそかに認め、人間の水準にまで追いつかなければならないことを知った。そこで神は人間に生まれ変わらなければならない、というのだ。ここにイエスの誕生につながる問題がある。旧約と新約の世界にまたがる神と人間のドラマを、意識と無意識のダイナミックなせめぎあいを通して、ユングは雄大に描いている。「ユングの数ある著作の中でも最高傑作」と訳者が呼ぶのも至当であろう。》
マルグリット・デュラス『タルキニアの小馬』集英社文庫・1977年
《猛暑と日照リの続く地中海沿岸の小村で、ウァカンスを過ごすジャックとサラ、ルディとジーナの夫妻、そしてディアナたち。緩慢な時の流れに身をまかせながら、あてどない刺戟を求める彼等の前にモーター・ボートを乗り回す男が現われて起る、小波のような心の波紋。けだるい日常に浮き彫られる愛のかたちを流麗に描いたデュラスの代表作。》
砂原糖子『リバーサイドベイビーズ』ディアプラス文庫・2016年
《ワケアリで河川敷の小屋で暮らす高校生・三丈と、その悪友で体力バカの多真上。腕っぷしの強い二人は川原の住人達の用心棒をしつつ、喧嘩上等な毎日を送っていた。ある日、わりのいいバイトを探していた三丈は、多真上と共に女装でキャバクラの面接に臨む。一目でバレた多真上に対し、三丈は見事採用。疑われるどころか贔屓客もつき始め、貢ぎ物までもらってご機嫌の三丈だが、多真上の様子がおかしくなり……?》
坂崎乙郎『象徴の森―神秘と幻想の画家たち』読売選書・1973年
《『象徴の森』は二冊目の評論集です。とりあげた画家はボッシュから前田常作まで広範にわたっていますが、いずれも、ここ数年間に書かれたものです。
その意味で、一冊にまとまってみますと、それぞれに愛着があり、また自分なりに歩いてきた道が、はっきり分かるような気がします。とくに「反博の思想」や「イメージについて」には、これからさきの私の姿勢もうかがわれて、あらためて批評の難しさを痛感しないではいられません。
人間四十をすぎれば、少しは考えが固まってくるのでしょうか。批評の要は節を曲げぬことだと知りました。
節を曲げぬといえば、画家も同じであるはずです。画家の現実世界との接点は、ただひとつ理解されるかされないかであって、あとの扉は全部ふさがれているからです。フリードリヒもヤンセンも、ベルナールもマッケもそうでした。そして、かれらをとおして、私は批評の方法論を学んだともいえます。それは画家とひとしく、私も現実世界を虚とみなし、自分の理念を実とみる方法です。》(「あとがき」より)
高階秀爾『フィレンツェ―初期ルネサンス美術の運命』中公新書・1966年
《ブルネレスキ、ドナテルロ、マサッチオ等々、相次ぐ巨匠の輩出によって、十五世紀のフィレンツェは美術の黄金時代を迎えていた。しかし世紀の変り目にいたって、レオナルド、ポライウォーロ、ベロッキオ等の優れた芸術家の芽を育てながら、ついにその成果を実らせることなく衰退に向かい、盛期ルネサンスの栄光をローマにゆずる。このフィレンツェ美術の実相を究明し、芸術の運命について考える。》
大澤真幸『戦後の思想空間』ちくま新書・1998年
《いま戦後思想を問うことの意味はどこにあるのか。戦後民主主義を潮流とする戦後知識人の思想は、アメリカを中心とする世界システムのマージナルな部分として位置づけられた戦後空間のなかで醸成された。だが、70年代を転回点にして、アメリカの善意を自明の前提とした構造がもはやリアリティを失いはじめているのは明らかだ。西田幾多郎、田辺元の京都学派や和辻哲郎などによって唱導された戦前の「近代の超克」論を検証し、ポストモダンから「戦後・後」の思想へと転換する戦後の思想空間の変容を、資本の世界システムとの関連において鋭く読み解くスリリングな戦後思想論講義。》
藤原惟光『乙女ゲームの世界でヒロインの姉としてフラグを折っています。』ビーズログ文庫アリス・2017年
《妹は前世でハマリ込んでいた乙女ゲームの最推しヒロイン。
そして私は姉の真梨香に転生した!
でも、このゲームの攻略キャラはヤンデレ王子や傲慢バカなど
――ろくな男がいない!!
そんな『残念男』達のルートに突入すれば、可愛い妹は辛い思いをしてしまう。
ならばいっそ、攻略キャラとのフラグを折ってしまえ!
そうして、攻略キャラ全員の様子を伺えるポジション=生徒会に潜入したけれど、
なんだかゲームの設定とは違うような……!?》
マルクス・アウレーリウス『自省録』岩波文庫・1956年
《生きているうちに善き人たれ――ローマの哲人皇帝マルクス・アウレーリウス(一二一‐一八〇)。重責の生のさなか、透徹した内省が紡ぎ出した言葉は、古来数知れぬ人々の心の糧となってきた。神谷美恵子の清冽な訳文に、新たな注を付す。》
森村誠一『悪魔の飽食 第三部』角川文庫・1985年
《1982年9月、著者は戦後37年にして初めて現地を訪れ、“悪魔の部隊”の痕跡を辿った。日本陸軍が生んだ世界最大規模の細菌戦部隊の本拠地“平房”に生々しく残っていた悪魔の爪痕!!
マルタは本当に全員殺されていたのか? その遺族は? 特設監獄のあとはどうなったのか?
第一部、第二部が加害者の証言の上に成っているのに対し、本書は徹底した現地取材に基づく被害者の側からの衝撃の“告発の書”である。》
なんごくピヨーコ『悪役令嬢改め、借金1億の守銭奴令嬢です』アルファポリス・2015年
《ある日、白鷺百合子は自分が乙女ゲーム世界の悪役令嬢であることに気づく。しかも、どうやらこの世界はループし続けているらしい……!? 同じ時を繰り返す原因は、主人公が完全クリアを目指し、何度も何度もゲームをやり直しているからだった。
物語のやり直しのたびに、借金を抱えた家が没落し、婚約者に捨てられ、悲惨な末路を辿る百合子。しかし、自分の置かれた状況に気が付いた彼女はループを破り、明るい未来を勝ち取ろうと決意した! 百合子は物語そっちのけで、1億円の借金返済のため土地と株の売買や、新ビジネスに奔走する。
だが、女子からの嫉妬で妨害を受けたり、アイディアを盗用されたりと、お金稼ぎは一筋縄ではいかなくて――!?》
佐伯啓思『経済学の犯罪―稀少性の経済から過剰性の経済へ』講談社現代新書・2012年
《私たちはいつまで誤った経済学を信じ続けるのか? いまだ収拾のつかないグローバル金融危機。これに対する各国の対応は、結局は対処療法に過ぎず、次のバブルを招来させるものでしかない。そして資本主義の危機を底で支えているのは、社会主義国の中国という喜劇的状況。なぜこのような状況に陥っているのか。筆者は経済学の根本、貨幣の根源にまで遡り、いまの過ちを論じる。(講談社現代新書)
今日のグローバル経済危機の根源には、私たちが現在「正しい」と思っている市場主義経済学の現実離れした理論があった。アダム・スミス、マックス・ウェーバー、そしてケインズといった賢人が、かつて語っていたことを丁寧に読み解き経済学と現実の関係を再び整理し直す。
さらにグローバル経済危機の中心になる金融市場が必然的に抱える問題を、貨幣の源流にまで根底にある貨幣の誕生にまで遡り明らかにする。
知的興奮とともに、今日の大問題への解決のヒントが見えてくる一冊! 》
高橋克彦『悪魔のトリル』講談社文庫・1989年
《もはや時代おくれの衛生博覧会で、私はバラバラに切断された美少年の蠟人形を見た。案内したのは奇妙な老人で彼は私の表情を陰でうかがっていた。
それから二十年後、友人の店で私はその老人と再会する。そして彼から聞かされた数奇な人生、そしてあの蠟人形の持つ秘密とは?
俊英が描く怪奇世界の魅力六編。》
収録作品=眠らない少女/妻を愛す/悪魔のトリル/卒業写真/陶の家/飛縁魔
鮎川信夫・吉本隆明『対談 文学の戦後』講談社・1979年
《敗戦の衝撃から、身を以て30年余の戦後文学史の混沌を、或る持続する意志で生きてきた鮎川信夫・吉本隆明の両氏が、文学と人間との関係存在を鋭く問う。》
森村誠一『企業特訓殺人事件』角川文庫・1978年
《「一人や二人の新人が死んでも、会社の存続にとって物の数ではない!」業界屈指の発展ぶりで注目される化粧品会社粧美堂の営業課長大津は、研修会の席上で冷然と言い放った。
二年前、会社の新人養成特訓中、病弱な兄をしごき抜き、遂に死に至らしめた男が目の前にいる。兄の死の真相を探るため、敢えて粧美堂へ入社した速水正吾は、仇の正体をはっきり見届けた。爆発しそうな怒りを必死に抑え、彼は大津に対する復讐の計画を秘かに練りはじめるのだった……。
異色の題材にテーマを取った表題作ほか七篇を収める傑作短編集!》
収録作品=腐った流域/浜名湖東方十五キロの地点/螺旋の返礼/受胎請負師/情事の欠陥/虚業ピエロ/剝がされた仮面/企業特訓殺人事件
デズモンド・モリス『裸のサル―動物学的人間像』角川文庫・1979年
《人間は、霊長類193種のなかで、ただ一種の体毛のない裸のサルにすぎない。人類を生物界のなかで至上孤高のものとみなしていた人間の思いあがりを、これほど愕然とさせる前提はかつてなかった。
著名な動物学者である著者は、その立場から人間の諸行動を一匹のサルとして観察・分析する。高度な文明を獲得したと思っていた人間が、いかに動物的本能にねざした行動契機に支配されているかを思いしらされる。》
五木寛之『戒厳令の夜(上)』新潮文庫・1980年
《元美術史学徒の江間隆之は、福岡の酒場で一枚の絵にめぐり会った。その絵は紛れもなくスペインの大画家パブロ・ロペスのものだった。占領下のパリでナチスに略奪され、杳として行方の知れなかったコレクションが、今なお日本のどこかに眠っている! 右翼浪人・鳴海望洋と共に幻の名画の謎を解明しようとする江間の前には歴史の暗部がしだいに鮮明に浮び上がって来る……。》
五木寛之『戒厳令の夜(下)』新潮文庫・1980年
《幻のコレクションの謎に挑む江間は、それが戦後の炭鉱国有化案をめぐる一大疑獄と関係のあることを知った。国家権力は事件をあくまで闇から闇に葬り去ろうとする。江間とその恋人冴子は、鳴海老人の畏敬してやまない外道の学者・水沼隠志の庇護のもとに名画群を追う……。古代幻想の九州、内戦のスペイン、占領下のパリ、戒厳令のチリと、壮大な構想が奔流する戦慄のロマン。》
なかひろ『初恋コンテニュー』ガガガ文庫・2013年
《この世にはクソゲーやバグゲーと呼ばれ、歴史から削除されたゲームがある。そんなソフトばかりが発売され続けたことで、誰からも見向きもされず話題にあがっても『ゴミ捨て』などと揶揄されるだけのゲームハードも存在している。主人公・綾野海の妹・空はそのハードにあまりにも熱中していた。彼女はゲームをこよなく愛し、どんなに理不尽なソフトでも楽しんでプレイしてきたのだ…自分自身がゲームに取り込まれるまでは―。ゲームに疎い兄が妹を助けるためにゲームの世界で大奮闘!萌えて燃えられるデスゲーム風ラブコメ物語!》
赤江瀑『夜叉の舌』角川ホラー文庫・1996年
《近江の町はずれで、黙々と刀剣の鞘づくりに打ち込む若き見習い職人・平河友威と、彼を見守り、その運命を導びき続ける一匹の赤い蜘蛛。両者の間に秘められた、妖しく摩訶不思議な出逢いとは?(表題作)
夢幻、霊魂、死、エロス……魔性の世界を耽美色豊かに描き上げた、赤江美学の集大成。単行本未収録の秀作も収めた、自選恐怖小説集。解説・皆川博子》
収録作品=草薙剣は沈んだ/月曜日の朝やってくる/悪魔恋祓い/夜叉の舌/春の寵児/鳥を見た人/夜な夜なの川/影の訪れ/池/迦陵頻伽よ
赤江瀑『罪喰い』講談社文庫・1977年
《心の奥底にひそむ魔性。狂気の淵に立った時、人を破滅へと駆り立てる不可解な内面の衝動。……〈罪喰い〉という魔の言葉にとリ憑かれた新進建築家。一年中花の香が絶えることのない妖かしの庭に魅せられた若い庭師。……彼らは非現実の世界へと果敢なる飛翔を試みる。闇の翼は、果して存在するのであろうか。》
収録作品=罪喰い/花夜叉殺し/ライオンの中庭/赤姫/サーカス花鎮
泡坂妻夫『乱れからくり』角川文庫・1979年(日本推理作家協会賞)
《馬割一族が経営する玩具会社の製作部長馬割朋浩は、旅行に出発する直前、隕石に当たり急死した。その葬儀も終わらぬうち、今度は彼の愛児が睡眠薬を誤飲し、死亡した。二つの奇禍をきっかけに、奇妙な方法による連続殺人が、この一家を襲いはじめた。
事件の裏にあった、江戸時代にまでさかのぼる馬割家の秘められた謎と、ねじ屋敷に作られた大迷路の秘密を追って、男まさりの美人探偵と、新米助手の活躍が開始された。
第31回日本推理作家協会賞を受賞した、本格推理の最高傑作。》
篠原勝之『人生はデーヤモンド』角川文庫・1983年
《坊主頭に着流しで、シチーを下駄音高く歩いていく、これが本書の著者通称クマさんこと、篠原勝之氏である。
しかもこのクマさん、本職の画家のほかに、話術の名人であり、ズバ抜けた文章家であり、いまやジャズプレーヤーを目指すという、マルチ才能の人である。
そして、これは、マルチ才能の目がとらえた、さまざまなことを、巧みに語ってくれる絶妙な味の本である。
是非、一度、ご賞味下さい。》
高階秀爾『美の思索家たち』青土社・1983年
《現代の美術論に決定的な影響を与えた美の思索家18人の名著を系統的に紹介し、20世紀芸術思想の展開を鮮かにあとづけ、美術と美術批評の今日の地平を浮彫りにする。》
三浦哲郎『忍ぶ川』新潮文庫・1965年(芥川賞)
《兄姉は自殺・失踪し、暗い血の流れに戦きながらも、強いてたくましく生き抜こうとする大学生の“私”が、小料理屋につとめる哀しい宿命の娘志乃にめぐり遭い、いたましい過去を労りあって結ばれる純愛の譜『忍ぶ川』。読むたびに心の中を清冽な水が流れるような甘美な流露感をたたえた名作である。他に続編ともいうべき『初夜』『帰郷』『団欒』など6篇を収める。》
収録作品=忍ぶ川/初夜/帰郷/團欒/恥の譜/幻燈畫集/驢馬
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