『国東塔』は河野美千代(1938 - )の第1句集。序文:能村研三、跋文:田邊博充。
著者は「沖」同人。
臥てみたし銀杏おちばの校庭に
秋澄みて肌の乾きをいとほしむ
抽出しの何か閊へし十二月
柚子風呂に如来のごとく眼閉づ
温泉卵買ふ列にゐる若葉寒
水中花妊婦は水の匂ひせり
木の葉髪まだ捨てきれぬナース帽
国東に住むは端居のここちして
黄砂ふる夫の電話はソウルより
放映の津波に正坐春寒し
スカイツリー白地の似合ふ師の如し
雛は箱に夕日は山に沈みけり
万緑やキャッチボールの球逸れて
猫の眼に愁ひが少し終戦日
芥子菜を眠らすやうに漬けにけり
※本書は著者より寄贈を受けました。記して感謝します。
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