『一日』は佐瀬はま代(1954 - )の第1句集。序文:西村和子、帯文:行方克巳。
著者は「知音」会員。
静脈のあをあを真夜の冷蔵庫
暮の春昨日を忘れたる母と
赤き青きジュース煌めく夜店の灯
室の花夜を鳴る電話恐ろしく
明日もたす新婦のブーケ冷蔵庫
白シャツの一群に夫見失ふ
なにもせぬ自由ありけりハンモック
蜩やいつもどこかに母のこと
十月や化学式にも手足生え
無花果や猫は遺跡をすみかとし
灯火をやはらかく秘め夏館
少年は一塊の熱七月来
ボスニアヘルツェゴビナ 二句 より
物乞ひの少女膝抱く片かげり
もう知らぬ人の住む窓秋薔薇
なまはげの去り藁屑のそこらぢゆう
※本書は著者より寄贈を受けました。記して感謝します。
コメント
コメントフィードを購読すればディスカッションを追いかけることができます。