「円錐」第52号(2012年春)から。
連載は「エリカはめざむ(10)」今泉康弘が「渡邊白泉の沼津時代」。
「戦後派俳人作品鑑賞(3)」では《暗闇の目玉濡らさず泳ぐなり 鈴木六林男》《遠足の列大丸の中通る 田川飛旅子》《冬の日や臥して見あぐる琴の丈 野沢節子》《汝が胸の谷間の汗や巴里祭 楠本憲吉》《紺絣春月重く出でしかな 飯田龍太》が取り上げられている。
ほかに仁平勝、山田耕司による糸大八句集『白桃』評等。
炎天の吹奏樂の喉ぼとけ 澤 好摩
武蔵野の川みな淺し曼珠沙華
家猫の孕みて戻る不機嫌よ 入船誠二
みぎわにてひとみな蝶の影のなか 今泉康弘
流木よみればまわりに夜と霧
天にあらず地にあらず乳房に鳥
研ぎ方のわからぬ虹となつてゐる 山田耕司
二階には泥鰌が足りてゐて静か
図書館に椅子たつぷりと年の朝
みづうみの花火をはりてみなをはる 栗林 浩
飛ぶ雲やすべての料理に人参いれる 橋本七尾子
折鶴の灯らむとする霜夜かな 横山康夫
「円錐集」年鑑推薦作家となった三丸祥子の新作15句から
月蝕のとんぶり瓶に集められ 三丸祥子
空砲の音に影ある枯野かな
時評が「関悦史の句集と震災詠」今泉康弘で、『六十億本の回転する曲がつた棒』を取り上げてくださっている。
中心になるのは角川俳句賞の「ふくしま」を踏まえての震災詠の話なのだが、今泉氏、百人一首をもとにした「百人斬首」の章が一番お気に召したらしい。旧字とカタカナが読みにくいこともあってこれは稀少な反応。「円錐」の時評ならではか。
関係ないが、先日山田耕司さんに聞いたところ、「円錐」はEメールを使わない同人が多く、誌面も今でもワープロで作られているのだそうだ。道理で字面の印象が独特と思った。最近はインクリボンの入手が大変らしい。
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Thomas Dolby - She Blinded Me With Science
なおトーマス・ドルビーは今週末来日公演予定。記事中に出てくる坂本龍一との共演「Field Work」のPVでは、坂本龍一は第2次大戦終結を知らずに硫黄島に潜み続けていた軍曹という設定。
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