「らん」no.56から。
黙の家ら夕刻となり 魚を噛み 伊東聖子
宇宙の建築者、ドウカ歌ッテクダサイ
膝抱いて胎児出没銀河系 金子 彩(金原まさ子さんの別名)
葡萄提げて来てみたものの神は留守 高野射手男
破れ蓮ギリシャ悲劇のやうである もてきまり
深秋やビデといふ美しさうなもの
蟋蟀の一たび白くなつて女よ 矢田 鏃
もてきまりさんとは現在メール句会をともにしているのだが、エッセイで鳴戸奈菜さんと並べ、私との出会いのことも書いてくれている。
短文なのでそこには書かれていないが、もてきさんが私を知った経緯がやや変わっているのだ。
私が介護のために下宿を放置して急遽実家に戻った際、知人たちに近況を知らせるために、ホームページ「悦史の部屋」のほうに一時介護日記を載せていたことがあり、それがまた私のことだから結構こまごまと記録してあった。状況が急変する前の2004年10月、1回限りの掲載で終わってしまった上、その後誤って削除されてしまってそのままにしてあるのだが、それを偶然見て驚いたのだという。つまり別に、直接には俳句を通じた出会いではなかったのだ。その後もてきさんとはmixiでも出会うことになるのだが、私がmixiを始めたのは祖母没後で、そのときには介護自体は終わっていた。
以下、同人作品7句から。
運動会ひとりひとりに影一つ 楠見恵子
じやれてゐる目が猟犬となる一笛 嵯峨根鈴子
立ったまま石蕗の花でいる不安 中村光三郎
出口という入口近し彼岸花 鳴戸奈菜
故人みな普段着でくる稲光 藤田守啓
キノコよ柿よ腐って還れ不許出荷 五十嵐進
黒潮よ「直ちに影響はない」回帰
みちのくにいまだしられぬみくにうた 丑丸敬史
五十嵐進は「農をつづけながら…フクシマにて」も連載中。
《私らの周りではだいぶ前から参勤交代を復活しろ、という突飛とも思えるアイデアが出ている。何のことか、と思われるだろうが、国会議員や中央官庁の官僚や何よりも東京電力の役員たち本人もしくは家族を、高放射線量区域に住む、住まざるを得ない人々と半年あるいは一年交代で住み替えさせるという案である。対策遅延に業を煮やした地元被災民の奇策である。この策は確かに事の本質を突いていると思う。自分が、自分の家族がおめおめ高放射線に曝される土地に、いるものか置くものか。救援施策の遅れは他人事扱いの何ものでもない(原文ママ)。金と本気さがあればできるのだ。》
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Julia Hamari - Bach Matthäus-Passion BWV244 Nr.39 Arie:Erbarme dich, mein Gott(バッハ:マタイ受難曲からアリア「憐れみ給え、わが神よ」)
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