『暗渠の雪』は五十嵐秀彦(1956 - )の第2句集。
著者は「雪華」、同人誌「Asyl(アジール)」同人。
手配師の手帖分厚き枯野かな
雪原に真つ赤な斧があり眠る
椅子ごとに癖あるカフェの大暑かな
日記買ふ夢の続きのために買ふ
極道を雪の埠頭に送りけり
肺尖を削る吹雪となりにけり
人の死を記して春の明朝体
目の下の隈がゾルゲに似て青野
印鑑を守るをんなのゐてとろろ
春泥や越境の靴洗ふとき
冬の星葉書の隅を揃へをり
庭の妻激しく芍薬を剪りぬ
雪襖くぐりし人の感光す
いまバスのなかか百合抱へて友よ
雪降れば雪呑む海を見たくなる
※本書は著者より寄贈を受けました。記して感謝します。
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