『記憶の糸』は西谷裕子(1948 - )の第3句集。
著者は終刊まで「らん」同人。
裸木やロザリオは置いてきました
これよりは罠かもしれぬ草紅葉
どれだけ傷つけばすむ白椿
瑠璃蜥蜴に出逢ってしまってからのこと
ことりかたりと侏儒の靴音星月夜
灯りは手燭いつかもここにいたような
天上のここが入り口冬すみれ
告白しますあなたがわたしであることを
黄落や思い出せない貌がある
白桃をおけばてのひらざわめいて
ソプラノの遠ざかりゆく十三夜
車座のひとりをさらう秋の風
青葉若葉指でなぞって地図の旅
ていねいに隠し包丁して熟睡
鬼胡桃かちかち鳴らし鬱が来る
※本書は著者より寄贈を受けました。記して感謝します。
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