『九月の明るい坂』は今井聖(1950 - )の第4句集。
著者は「街」主宰。
海に出る運動会を二つ見て
春夜の母原稿用紙呉れと言ふ
正面に立つと横向く仔馬かな
縄文土器の高き重心牡丹雪
仏具磨きをれば裸子過りけり
サムゲタンの中に両脚冬銀河
夕焼雲襤褸のごとし少年に
レースクイーンでしたと草をむしりゐる
夏館棺を重ねたるやうな
大甕のハイビスカス沖縄独立論
虫入れてペットボトルの裡曇る
一尾のみの釣果の鯵が我を見る
ぶらんこのねぢれ戻らず父帰らず
鴉の巣しだいに雑に堅牢に
一九七一年夏、初めて訪ねた楸邨居の玄関に魚板と
木槌が掛かっていた。僕はそれを叩いた
魚板打つやたちまち入道雲の中
※本書は著者より寄贈を受けました。記して感謝します。
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