『さよならさんかく』は秦夕美(1938 - )の第17句集。
著者は「豈」同人、個人誌「GA」発行。
立春の水面に影のふえつゞく
白波と侯爵邸の薔薇のなみ
道草のはじめは黄泉の蓬餅
手を入れて奈落まさぐる清水かな
野の果をはしる光や若冲忌
むせび泣くやうに大和の蛇の衣
嫁が君わが心臓をひとめぐり
かの子忌や留金ゆるき旅鞄
ウィスキーは蘇格蘭(スコットランド)の春がすき
来迎図はつかに黄砂かゝりゐる
五月くるガラスの靴のおきどころ
来るのかい夏の大三角つれて
来世てふ三音あそぶ氷柱宿
奪衣婆も夢をみるなり雪卍
櫻より重き空気のうごきけり
※本書は著者より寄贈を受けました。記して感謝します。
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