『櫂の音』は杉美春(1956 - )の第1句集。序文:有馬朗人。
著者は「天為」同人、「小熊座」会員。
幼子の歯型残りし女雛かな
理科室のコップの中の種浸し
オキーフの花崩れゆく遅日かな
掌の椿小鳥の重さかな
向日葵のアルルの空を焦がしけり
オキーフの絵の骨白き冬日和
読初のヴェネチア史より櫂の音
日焼子の全身夢のなかにあり
綿虫や海の続きに空があり
影持たぬものも過ぎ行く白障子
ミニチュアの猫の楽団降誕祭
ザラ紙の少女漫画や鳥雲に
クロールや水の頁を折り返す
どの窓もトロンプルイユ秋暑し
AIも地球の子なり毛糸編む
※本書は著者より寄贈を受けました。記して感謝します。
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