『転蓬』は依田善朗(1957 - )の第2句集。帯文:鍵和田秞子。
著者は「未来図」同人。
ダムの灯の揺らめきもせぬ我鬼忌かな
木道の釘を光らせ蛇過ぎゆく
夜の蟬シリア派兵の教へ子よ
山霧やラジオとラジオすれちがひ
停電や鼻梁光らせ卒業歌
足指の押し開かるる田植かな
音の奥より白々と夜の滝
柘榴手にわが網膜の破れたる
桃吸へよ骨より細く父痩せて
ダリア黒々父を焼かねばならぬ日ぞ
うぐひすやクレーンとクレーン空に合ふ
峯雲や呑んで咳き込む沢の水
ぬかるみの真ん中にゐて近松忌
晩夏かな棘ある草を駱駝食む
口笛の吾が身離るる寒さかな
※本書は著者より寄贈を受けました。記して感謝します。
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