『樹』は森田廣(1926 - )の第6句集。
森田廣は福島小蕾主幹の『俳句地帯』同人を経、これを『地帯』と改めて主幹。その終刊後『ひこばえ』(代表月森遊子)同人。
現代俳句協会理事を経て名誉会員。
春呼んで老女石弓(ぱちんこ)を空へ撃つ
上がり框でとんぼを切りし春の沖
寿齢たまわり母の恥丘(おか)にてはるのゆめ
白牡丹夢見の滝に打たれけり
少し曲った鼻と青田が鏡の景
斑猫やマーク・ロスコの絵の奥へ
遠望の山門にこそ白日傘
化粧(けはひ)して母よ虹から墜ちたまうな
竹林につぶてが中り秋到る
浦々を竹とんぼゆく神の旅
いつの間に肩に乗る姉落葉径
梟にねらわれている幼陰茎(おさなぺにす)
落葉浴びよさもなくば灰のごと眠れ
枯野である真昼の大星雲である
寒林やあまた童女を吊るすべし
※本書は著者より寄贈を受けました。記して感謝します。
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