【十五句抄出】斎藤伸句集『億光年』

2014年
ふらんす堂


　『億光年』は「鷹」同人・斎藤伸（1942 - ）の第1句集。

　序文：小川軽舟。



帰省子に父の書斎の変はらざる

風死せり煙草一箱轢かれあり

水虫や億光年の夜空在り

子が泣きて女等見つむ秋の暮

東京は何処までも家秋の風

柿食うて柿採らぬ木をみてをりぬ

大寒や夜間人口零の街

人口が減る国に住み蠅叩

渓水に百合五六本束ねあり

小さき門泰山木の花さきぬ

日輪のなまじろくある枯野かな

灯台の照らすうねりや年逝けり

薄氷や日に高みたる虫の群

中心が日本の地図や亀鳴けり

五千円借りしままなり遠蛙






※本書は著者より寄贈を受けました。記して感謝します。






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Schubert Piano Sonata in A major, D. 959 - Jerome Rose - Medici Classics - HD