2020年6月
朔出版
『ぴったりの箱』はなつはづき(1968 - )の第1句集。跋文:宮崎斗士。
著者は「青山俳句工場05」「豈」「俳句新空間」「櫱通信」に参加。超結社「朱夏句会」代表。
リュウグウノツカイ浮いてくる春の月
晩秋の木々一本はフランスパン
さびしいチェコ語十一月の森に入る
狐火が集まるクリームシチューの日
はつなつや肺は小さな森であり
鍵探す指あちこちに触れ桜
天窓のやわらかくあり更衣
地に刺さる喪服の群れよ油照り
少女たち横一線に夏兆す
オルゴール止まったあとの水蜜桃
その人は自転車で来る豊の秋
厚化粧がぬっと出てくる冬館
図書館は鯨を待っている呼吸
背中からひとは乾いて大花野
真新しい財布の硬さ小鳥来る
※本書は著者より寄贈を受けました。記して感謝します。
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