2025年1月分。相変わらず病的に眠い。積読は消化できず、頂いた句集は全部読んでいるのだがブログに上げる余力がなかなかない。
子供の頃に読まずに来た『幻魔大戦』が今頃全巻手に入って読み始めた。ここに上げた1~3巻はカバー絵が生頼範義だが、先の方に行くと加藤直之、大友克洋バージョンが入りまじったセットだった。
ゲルハルト・ロート『ウィーンの内部への旅―死に憑かれた都』彩流社・2000年
《ウィーンの体内をめぐる。
…炎上…水没…狂気…民族排除…放浪…貧窮…奇形…空中世界…地下世界…暗殺…戦争…かつて描かれることのなかった都市の解剖図。》
ロベルト・コトロネーオ『オートラント綺譚』而立書房・2013年
《1480年8月12日、イスラム教徒のトルコ民族がイタリア南部のオートラントを侵攻し、無差別の大量虐殺を行い、広場で住民800人を斬首する。以後、この地はキリスト教殉教者の都となる。そして現代のオートラントへオランダからひとりの若い女性がやって来る。教会の舗床のモザイク絵の補修に従事するためである。そこで彼女は、1480年当時の人たちと交流を持つ始める。
ドイツ、ロシアでも翻訳されて注目を浴びている。》
平井和正『幻魔大戦1』角川文庫・1979年
《パリからニューヨークヘ向かうジェット旅客機の機内に、素晴らしい美女が座っていた。トランシルヴァニア国の王女ルナ姫である。彼女は、未来透視の優秀な才能を持つ神秘家だった。
精神を集中して予知夢の世界に入った彼女の意識を、突然、強烈な衝撃が襲った。彼女の膝の上の水晶球が炸裂し、そのかけらが機内に飛散した。彼女は、この旅客機がまもなく爆発する事実を知ってしまったのだ。そして、「ジェットが落ちる!」という彼女の絶叫の直後、凄惨な現実が訪れた――。
宇宙の破壊者“幻魔”と、ルナ姫を中心に結束する正義の超能力者の戦いを描く壮大な宇宙ドラマ第一弾!》
西村寿行『牛馬解き放ち』角川文庫・1985年
《奴隷のようにこき使われているひとりの飯盛女に同情した男・文吉。彼は女をさらい、徒手空拳で、地元の代官、果ては幕府への反抗を開始した。
山中にたてこもり砦をつくり……が、たったひとりで何ができるのか……?
しかし、時代は変わりつつあった。時は幕末、変革の波は地方の山の中にもやって来つつあった。ふつふつと湧いてくる民衆たちの抵抗の気運は、やがて大きな波となって文吉をそして幕府を巻き込んでゆく。
民衆のエネルギーと、男と女の引かれあう情念を見事に描ききった西村文学の傑作。》
西村寿行『怨霊孕む』講談社文庫・1983年
《乱に明け乱に暮れる南北朝末期、南朝に味方して敗れた熊谷義直の一党は伊那谷を急襲した。残虐非道の限りを尽くし、近郷を斬り従えるしか、彼らが生きのびる道はない。だが、奪い取り、妻に直した女が山伏に犯されたとき、義直の心に狂気が宿った。――当代の鬼才西村寿行が放つ、初の長編時代伝奇ロマン。》
梶尾真治『ゑゐり庵綺譚』徳間文庫・1992年
《他星系へつながる穴が交差するアトランダムジャンクション近くの惑星ズヴゥフルⅤは、中継宇宙港としてさまざまな宇宙人でごった返していた。その宇宙港の片隅に、地球人の末裔アピ・北川の経営するソバ屋〈ゑゐり庵〉があった。“銀河版食べ歩きガイド”にも名を連ねる評判のこの店では、今日もてんやわんやの大騒ぎ。
'91年度日本SF大賞受賞作家によるユーモアとペーソスあふれる会心作!》
収録作品=クローン爆弾隊/仇討ち! ゑゐり庵/グルメが宇宙からやってきた/ゲルンチョア王再生/スピノザXの奇跡/アンクル&コングのインクレジブル・ギャラクシィ・サーカス/チョット眼貴石の報酬/電気パルス聖餐/ニグラグ地獄/憎悪銃/ゴーディアス流転/異空の三本〆/バツラハム水/出前大戦/トラメス不倫/ヘレヌス流化石道
内藤湖南『日本文化史研究(上)』講談社学術文庫・1976年
《日本文化は、中国文化圏の中にあって、中国文化の強い影響を受けながらも、日本独自の文化を形成してきた。著者の日本文化を見る視点は、一つは中国の歴史の専門家として、もう一つは、日本人としての立場から、その本質をするどく洞察する。また、歴史への考察はもとより、書道・水墨画など幅広く日本文化を論じ、歴史家としての知識とその見透しの確かさ、秀れた芸術家としての資性との融合から生れた日本文化論の名著(全二巻)。》
内藤湖南『日本文化史研究(下)』講談社学術文庫・1976年
《日本文化は、中国文化圏の中にあって、中国文化の強い影響を受けながらも、日本独自の文化を形成してきた。著者の日本文化を見る視点は、一つは中国の歴史の専門家として、もう一つは、日本人としての立場から、その本質をするどく洞察する。本巻には、「日本文化の独立」「香の木所について」ほか、現代日本を知るには、応仁の乱以後を知れば十分だと喝破する論文「応仁の乱について」など、余人では主張しえない秀れた八論文を収める。》
清水一行『赤線物語』ケイブンシャ文庫・1988年
《赤線―昭和33年に廃止されるまで、全国各地に点在した公認の大人の遊び場。そこでは毎夜、女たちの嬌声が谺し、男たちが欲望を満たし、あるいは初めての体験に、女体を前に震えていた。本篇は、赤線玉の井で働く慶子という女性を主人公に、毎晩多くの男に身を任せながらも、けなげに生きた女たちの、抱腹絶倒、どたばた喜劇の異色作である。》
収録作品=同棲テスト/可愛い妹/騙されついで/行きがかり/笛の舌ざわり/姉妹どんぶり
平井和正『幻魔大戦2』角川文庫・1980年
《地球征服を企む、宇宙の巨大な破壊者“幻魔”。その力は、星の一つや二つ、一瞬のうちに消滅させてしまうほどの物凄さである。そして今、幻魔の尖兵が早くも地球に侵入していた。
幻魔軍団には、いかなる近代兵器も全く用をなさない。彼らに対抗し得るのは超能力者だけであった。地球防衛のため、自らも偉大なエスパーであるトランシルヴァニア国の王女ルナ姫は、宇宙戦士ベガと共に世界中から有能なエスパーを探し集めていた。そして、その中に日本の高校生東丈がいた……。
宇宙の邪悪な存在に敢然と立ち向かう正義のエスパー戦隊の活躍を描く、壮大な宇宙ドラマ第二弾!》
ピーター・トライアス『ユナイテッド・ステイツ・オブ・ジャパン(上)』ハヤカワ文庫・2016年
《第二次大戦で日独の枢軸側が勝利し、アメリカ西海岸は日本の統治下にある世界。巨大ロボット兵器「メカ」が闊歩するこの日本合衆国で、情報統制を担当する帝国陸軍検閲局勤務の石村紅功大尉は、特別高等警察の槻野昭子の訪問を受ける。槻野は石村のかつての上官、六浦賀将軍を捜していた。軍事ゲーム開発の第一人者の将軍が消息を絶っているというのだ――21世紀版『高い城の男』の呼び声が高い、話題沸騰の改変歴史SF》
ピーター・トライアス『ユナイテッド・ステイツ・オブ・ジャパン(下)』ハヤカワ文庫・2016年
《石村大尉は特高の槻野とともに、所在不明の六浦賀将軍の足跡を追う。将軍は先の大戦で日独が負けた改変歴史世界を舞台とするゲーム「USA」を開発し、アメリカ人抵抗組織に協力しているのだという。石村は片腕にガンアームを装着した槻野とパイロット久地樂のメカに乗り、行く手を阻む敵メカを撃破し、抵抗組織の本拠地へ向かうのだが……。ディックの精神的後継者が近未来ガジェット満載で贈る衝撃作! 解説/大森望》
有吉佐和子『処女連禱』集英社文庫・1986年
《良家の子女が集まるR女子大英文科に、仲の良い7人のグループがあった。彼女たちは、いずれ劣らぬ才媛だが、中でも倉賀野祐子は、お嬢様然としており、すでにフィアンセがいた。彼女たちは祐子の恋愛問題を軸にして、互いに傷つけあいながらも信頼を崩さず、新しい時代、新しい社会へとはばたいてゆく。正田トモ子は出版社へ、田中文代は女学校の教師へ、平林珠美は外国商社へ……。7人の乙女たちの生きてゆく姿を、祈りをこめて描いた青春の記念碑ともいえる初期長篇小説。 解説・川西政明》
高階秀爾『ルネッサンス夜話―近代の黎明に生きた人びと』平凡社ライブラリー・2015年
《ルネッサンス美術の繁栄に大きな役割を果たしたメディチ家とはどのくらいの金持ちだったのか。当時の人間像を代表する傭兵隊長なるものは、どのくらい給金を貰い、どのような戦争をしたのか……。芸術が人間の生活と密接に結びついている以上、銀行家や学者、兵士や娼婦の生活も美術史研究に無縁であるとは私は考えないが、ここではそんな七面倒臭いことは言わず、ただ興味ある話題として気楽に読んで頂きたい。》
中村雄二郎『チェーホフの世界―私の方法序説』白水社・1979年
《「チェーホフの世界」は、私の処女作である。このたびようやく本来のかたちで陽の目をみることになった。処女作ではあるが、ここには、意味と無意味、中心と周縁、ヒーローとコロス等々、近年私が言語論や構造主義の刺激をうけて考えるようになった諸問題の萌芽がみな含まれている。私の哲学=ドラマ説の出発点となったものといってもいい。あえて《私の方法序説》と副題したゆえんである。新稿として、「チェーホフ再考」、「知の最前線としての演劇」、「チェーホフ・ベケット・シェイクスビア」をつけ加えて、第二部とした。 (著者のことば)》
平井和正『幻魔大戦3』角川文庫・1980年
《「あっ!」丈の唇から激しい驚愕の叫び声が迸った。彼にはもはや、狭い自室のたたずまいは見えず、閃光と銃声のさ中で猛り狂ったハーレムの群衆が、シネラマのスクリーンを見るような迫力で眼前に迫ってくる。その時、女の鋭い悲鳴が丈の超常感覚を呼び覚した。ルナ姫がテレパシーで救いを求めているのだ。「姉さん、王女を助けにアメリカヘ行く!」と言うやいなや、丈はいかなる高速ミサイルも及ばぬスピードで飛翔し、残像を残して消えた――。
遂に開始された邪悪な“幻魔”の地球侵攻に敢然と正義の戦いを挑む超能力者戦隊の活躍を描くシリーズ第三弾!》
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