放置してあった2024年12月分。相変わらず病的に眠く、生活に支障が出るレベル。
講談社ノベルスの2点は当時の装幀のフォーマットだけでジャケ買いした。
青野暦『冬の森番』は、東京文フリ後の「翻車魚」(寄稿してもらった)の打ち上げのときにご本人から頂きました。記して感謝します。
青野暦『冬の森番』思潮社・2021年(エルスール財団新人賞)
《頬をゆるめないように気をつけて
受けとめる。ぶつかりあう
個の意志のあかるさ。
(「雷注意報」)
「詩が、文学が、生きかえっている。どんなかなしみをも局所に留まらせない幅のある枠組みをもって、この詩集はいまを呼吸する光を放っている」(福間健二)。うつくしいことばが追ってくるのを逃れて。等身大の詩22篇。第1詩集。装画=堀江栞》
西村京太郎『マンション殺人』徳間文庫・1983年
《京南スカイコーポのモデルルーム展示の日、1人の見物客が浴槽で殺された。そして、北多摩ニュータウン入居の日、また1人の男の死体が浴槽に。なぜか、2人は同じニセモノの名刺をもっていた。果して同一犯人の犯行か!? 捜査員が5人の容疑者を捜査中、そのうち2人も次々と遺体となって発見された。連続殺人をつなぐ糸はあるのか。捜査は完全に壁に……。
当代の人気作家が贈る長篇本格推理!》
F・ブローデル『都市ヴェネツィア―歴史紀行』同時代ライブラリー・1990年
《豊かな過去を持つ美しい都ヴェネツィア。八二三年、町の象徴となった聖マルコと獅子の挿話、遠方交易の隆盛の日々、華ひらいた一八世紀文化、仮面劇・祝祭――。アナール派の重鎮の手によって、海洋都市の歴史が語られ、その豪奢な魅力が浮き彫りにされて行く。イタリア第一線映像作家のカラー写真九〇点を収載。》
豊島修『死の国・熊野―日本人の聖地信仰』講談社現代新書・1992年
《神霊の隠れ籠る地、また海の彼方常世への起点。熊野詣、補陀落渡海の裏に他界信仰を見通し、日本人の聖地信仰を検証する。》
小塚荘一郎『AIの時代と法』岩波新書・2019年
《AIの利用が普及し、データの価値が増大する時代には「モノからサービスヘ」、「財物からデータヘ」、そして「法/契約からコードヘ」という変化が生じる。それは法の世界に大きな変革をもたらし、さらに法の考え方の基盤を揺るがすようなインパクトを持つだろう。AIの時代に生じる諸問題を考え、対処する道筋を描き出す。》
岡田誠三『定年後』中央公論社・1975年
《誰にでもやってくるその日、これからの生きがいはなんだろう……。直木賞作家が長年の沈黙を破ってえがく、サラリーマンの誇りと哀しみ》
加藤周一『私にとっての20世紀―付 最後のメッセージ』岩波現代文庫・2009年
《二〇〇八年十二月に、惜しまれつつ八九年の生涯を閉じた著者は二〇世紀をいかにとらえていたのか。何を見つめ、何に希望を託して生き抜いたのか。本書は芸術、戦争、社会主義、ナショナリズム等の主題と自己の足跡を重ね合わせてこの世紀の意味を読み解いた書物であり、若い世代への期待を語った講演と生前最後のインタビュー(二〇〇八年八月)も収録した新編集版である。戦後を生きた知の巨人は旅路の果てに何を語り遺したのか、人間・加藤周一に関心を持つ読者にとって必読の書である。 (解説 成田龍一)》
種村季弘『迷信博覧会』ちくま文庫・1991年
《たとえば「鬼門」、たとえば「十三日の金曜日」、あるいは「媚薬」。今となってはただコッケイな昔の話から、身近に残るちょっとこわいことがらまで、迷信のパワーはすごくて、魅力がある。――「どうでもいいことの力」「役に立たない知識の面白さ」をしみじみ感じさせる、変り種の百科全書。 解説 南伸坊》
斎藤栄『完全アリバイ』徳間文庫・1984年
《医師武宮章吾と瞳は、新幹線で新婚旅行へ。その指定席には不吉な喪章が置かれていた。そしてその夜、花嫁が消えた。
武宮は、瞳を救出に南アルプス八紘嶺に向かうが、犯人は親友の吉村明で山中で重傷を負い絶命していた。同じ頃、川崎で若い女性がベランダから墜落死した。二つの事件は南アルプスに交差し、そこに意外な犯人像が浮かぶが、その人物のアリバイは完全であった。長篇本格推理。》
小林久三『赤い旅券』光文社文庫・1986年
《ニューヨークで事故死したはずの特派員・杉江克章がなぜ後楽園球場に!? 取材中の三木は、急濾彼を追うが見失う…。その直後、未亡人・杉江里矢子から託された杉江の取材メモには、彼が生前追っていた恐るべき事件の影が…。謎の核心に迫った三木は、国際的な謀略機関の存在を知る。鬼才が描くサスペンス長編の白眉!》
広瀬仁紀『銀行疑獄』講談社ノベルス・1983年
《銀行が冬の時代を迎えて、各行が最後のターゲットに狙っているのは、地方自治体の指定金融機関の地位である。その指定は、法律により一行と定められ、銀行のメリットは計り知れない。指定をめぐる金融マンの自治体幹部に対する鎬を削る猛烈な工作と虚々実々の駆け引きを余すところなく描きつくした衝撃の金融小説。》
西村望『地鳴りの家』講談社ノベルス・1983年
《瀬戸内海沿岸の浅川村の加納本家に養女として入ったリンは、莫大な財産を相続し当主となる。零落する一方の分家・北加納の男たちは、本家に聟入りし莫大な財産を我が物にしようと画策するが失敗する。本家と分家の抗争は絶えることなく続き、名家を守ろうとするリンの女の意地を打ち砕く血の惨劇へと突き進む!》
林譲治『記憶汚染』ハヤカワ文庫・2003年
《破滅的な原発テロの教訓から、携帯情報端末による厳格な個人認証が課された近未来日本社会。土建会社社長の北畑は、奈良の弥生遺跡から謎の文字板を発見するが、なぜかそれは200年前のものと推定された。いっぽう痴呆症研究に従事する認知心理学者・秋山霧子は、人工知能の奇妙な挙動に困惑していた。2つの事象が交わったとき、人類の営為そのものを覆す驚愕の真実が明らかになる――それは新たなる破滅か、それとも?》
真木悠介『気流の鳴る音―交響するコミューン』ちくま文庫・1986年
《人類学者カルロス・カスタネダのドン・ファンを主人公とする4冊の著書に描かれた、〈異世界〉の感性と論理を手がかりに、人間ほんらいの生き方の発掘をめざし、人間解放の拠点を探る、コミューン構想のための比較社会学。「目的はあくまでも、これらのフィルド・ノートから文化人類学上の知識をえたりすることではなく、われわれの生き方を構想し、解き放ってゆく機縁として、これらインディオの世界と出会うことにある。」(本文より)》
阿刀田高『好奇心紀行』講談社文庫・1997年
《いつでも、どこでも、旅は始まる――日々の暮らしの中にも、心を澄ませばすぐ“旅”が見えてくる。本、音、食、酒への「知の旅」、アジア、アフリカ、ヨーロッパへの「足の旅」。「好奇心」をキーワードに、古今東西の異郷を探究してめぐり歩く、珠玉のエッセイ集。心ゆたかな名手がつづる“旅”は今日も続く。》
村上龍『共生虫』講談社文庫・2003年(谷崎潤一郎賞)
《体内に謎の「虫」を宿した、引きこもり青年ウエハラ。彼はネットを通じ、インターバイオと名乗るグループから、その虫が殺戮と種の絶滅を司る「共生虫」であると教えられる。選ばれた存在であることを自覚した彼は、生贄を求めて外の世界に飛び出してゆくのだが……!? 衝撃のインターネット文学、ついに文庫化。》
エリアス・カネッティ『断ち切られた未来―評論と対話』法政大学出版局・1974年
《ヒトラーの狂気の軌跡を余すところなく照射し、生と死の問題を主軸に蜂谷道彦=ヒロシマ日記、孔子、トルストイを論じ東洋文化とその特異な意識構造を解明、更にマルクス、フロイトをめぐるアドルノ等との対話を通して、群衆・権力・死・変身の思想的モティーフを鮮烈に打出す。》
コメント
コメントフィードを購読すればディスカッションを追いかけることができます。