『東京(バビロン)の夜空に花火』は白戸麻奈(1969 - 2023)の遺句集。序文の山﨑十生によると熱中症による急逝であったらしい。。
著者は「紫」同人だった。
鏡からはいだしてくる春の雲
春の雷あちらこちらでケーキ切る
ががんぼの深い祈りで割れる海
魂と同じ重さの蝉をとる
シャワー浴ぶ三葉虫を見張りつつ
真空管蜘蛛と交信しようとす
人などに触れられたくもない毛虫
焼けた鮎ここをかじれと腹を出す
オカリナを買ってもらった熱帯魚
入口も出口もない箱秋の声
亀石の解説をする秋の蛇
遺伝子のここが違うの鯨とは
今日もまた海へ帰ろう枯蟷螂
少年はオペラに滝を感じおり
少年の裸はつまりバイオリン
※本書は関係者より寄贈を受けました。記して感謝します。
コメント
コメントフィードを購読すればディスカッションを追いかけることができます。