『花や鳥』は高橋睦郎(1937 - )の句集。栞文:堀田季何、小津夜景、岩田奎。限定600冊署名入り。
海表も啓蟄あれや潮赤き
Mitochondrial Eveがわが家祖草霞む
蜚蠊の髭もそよろに立つ秋か
磧(かはらいし)舐めに来るなり蝶(かはひらこ)
陽炎や人形腑分け綿ばかり
蹲(つくな)んで見る絲蚯蚓溝の春
井戸を忌み流言を忌み震災忌
逗子ととら堂
古書鬻ぐ燈のしみじみと夜の秋
いなづまの後朝匂へ稲の花
温まんと砂うごくなり泉底
小面に餘る大顔能始
今朝外に立つ不審者を春といふ
寂聴忌 十一月九日
渇愛の露今朝慈悲の霜の綺羅
月の夜のたかうな食うべ身ぞ透る
夭折は柩重かり草紅葉
※本書は著者より寄贈を受けました。記して感謝します。
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