『髪刈る椅子』は吉田哲二(1980 - )の第1句集。序文:塩川京子。
著者は「阿吽」同人。
人去りてやがて散る鯉春の昼
ざりがにの動くまで子の動かざる
雲の峰聳ゆるままに暮れゆけり
終点に着きとんぼうに囲まるる
幾たびも手に移しやる雨蛙
不自由な人語で春の猫宥む
子の手ごとオールを摑むボートかな
灯を消して音なく止まる走馬灯
さはやかに豆腐の角の揃ひけり
昼顔の巻きつき初むる二三周
きぬかつぎ我が指存外可愛らし
海近き雑居ビル街菊残る
大いなる山河ゆくべし蜷の道
白髪を美しと子は言ふ夕花野
湯婆の蹴ればたぷんと応へけり
※本書は著者より寄贈を受けました。記して感謝します。
コメント
コメントフィードを購読すればディスカッションを追いかけることができます。