『ひめむかし』は柿本多映(1928 - )の第7句集。
著者は「草苑」「白燕」「犀」を経て無所属。
近江京跡の土筆を胡麻よごし
洪水が来るまで豚は豚で在る
野は無人きのふ冬日が差しました
寝て覚めて菫が雲のあはひから
救急車降りてあやめの岸に立つ
非常階段上がつて下つて真葛原
まはりから指のあつまる蝉の穴
開戦日冬かげろふを平手で打つ
雛段の裏へまはつて兄と会ふ
憲法記念日捏ねて叩いて壺ですよ
元旦や老人体操して曲がる
比良坂へ桃を放りて長生す
蛸になりたし万国旗をかかげ
かたつむり真紅の泪みせるなよ
春や有為の奥山越えてダンスダンス
※本書は著者より寄贈を受けました。記して感謝します。
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