『トルコブルー』は野名紅里(1998 - )の第1句集。
著者は「里」「秋草」会員。
一日を透けては濁る水母かな
薄蒼きトマトの中や郷を出づ
少年を日傘の中に誘ひけり
月光に知る公園のかたちかな
百貨店にトルコブルーの日記買ふ
カフェに客一人店員二人の夏
台風や抱けば小さき犬となり
鯛焼の撫でれば硬い鰭である
冬のある日提出物を全部捨てる
流氷が愛に定義を与へけり
通りすがりのペガサスに聞く虹のこと
青年二人噴水に濡れにゆく
横顔が月の白さになつてゐる
どんぐりがときどき落ちてくるベンチ
バスケットゴールの縁に雪積もる
※本書は著者より寄贈を受けました。記して感謝します。
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