『短篇の恋』は藤田銀子(1964 - )の第1句集。序文:西村和子、帯文:行方克巳。
著者は「知音」編集同人。
調弦の音ばかりして秋の暮
君とゐたベンチに今日は冬の猫
昔日の寺格揺るがずあやめ咲く
ゼリー崩しつつ学校でありしこと
蝉時雨坂上がりても生家なく
吉野窓ひとつが景色冬座敷
寝そべりて大河小説蝉時雨
虚子の句を掲げ暦の果てにけり
立春の手風琴よりシュトラウス
寒月に魅入られて父逝きにけり
競はないことが大切チューリップ
天井を眺むるも贅夏座敷
曼珠沙華ご不浄によく日の当たり
不忍池を涼しく父の下駄
水温むだんだん悪さしたくなる
※本書は著者より寄贈を受けました。記して感謝します。
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