『澪杭のごとく』は幹自聲(かん・じせい、1959 - )の第1句集。序文:宮坂静生。
著者は「岳」同人。
降る雪のあをき時間を積みながら
鮭打棒の鱗光りや入日どき
雪折の枝を猿の齧りをり
予科練の本拠、太平洋戦争末期には特攻隊要員の訓練を行う
土浦や鑚り火のごとき曼珠沙華
風の盆 男踊
腕もて二百十日の風を切る
立ち替り来る禽獣や寄り鯨
風紋のまま堅雪となりにけり
東日本大震災より七年、みちのくの友人の労苦をわがこととして聞く 六句より
熱燗や廃炉作業に出稼ぎと
長男 事故死の報
炎天下事故の訃に身のがらんどう
雪雷に目覚む此の世に吾子の亡し
切り口の銅(あかがね)のごと乾鮭は
ひたすらに水吞む揚羽生臭し
音たてるまじ梟に狩らるるぞ
飯舘村
村投げるわけにはいかず田を植うる
「投げる」は方言で「捨てる」
灯(ひとも)り澪杭のごと枯野宿
※本書は著者より寄贈を受けました。記して感謝します。
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