『春は曙』は寺町志津子(1939 - )の第1句集。序文:安西篤、跋文:川崎益太郎。
著者は「海原」同人。
麦青む活断層の裂けしまま
逝きし犬朧の夜は還り来よ
ライラック祖母は馬上の祖父に恋
はんざきやいつも後からくる怒り
八十の夏には白いドレス着る
ひまわりひまわり自画像の目光る
月夜茸女黙して火を抱く
何もなき部屋こそよけれ今日の月
雁渡し哀しみは哀しみもて癒す
栗落ちる宇宙に行きたき少年に
なかんずく素数の海の雪明り
仲良くが遺言のすべて冬紅葉
ブリザードの基地に電文「アナタ」
人格を芥の如く原爆忌
これほどの夏木の影の子どもの碑
※本書は著者より寄贈を受けました。記して感謝します。
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