『迷走する空』は原満三寿(1940 - )の第8句集か。解説:齋藤愼爾。
著者は「海程」「炎帝」「ゴリラ」「DA句会」を経て無所属。
萩みだれ古刹の庫裡に乳ぜり声
風花が火の粉となりて娘(こ)となりぬ
頬杖にときどきくるよ鮃の目
残照の宙に翻車魚 列をなし
全長で笑いころげる春の帯
ブルガリも銀河もおどろく凍裂音
花になる途中の悲鳴が隣家から
老人と蟇がのこって蟇だけに
睡れずにガンジス河に佇っている
一睡の夢に空蝉炎上す
遠山へ煮こごりくずす二階かな
狐火が列なし枕頭を渉りたり
モナリザに九相が無くて桃の花
蕎麦たぐる後ろ姿が九鬼周造
きさらぎの粘菌迷路きらきらす
※本書は著者より寄贈を受けました。記して感謝します。
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