『人類の午後』は堀田季何(1975 - )の第4詩歌集。栞文:宇多喜代子、高野ムツオ、恩田侑布子。
著者は「楽園」主宰。
原文は旧字表記。
水晶の夜映写機は砕けたか
ひややかに砲塔回るわれに向く
月光に白し吾が手も合鍵も
うち揚げられし魚(いを)へ夏蝶とめどなし
世界貿易センター跡や雪間とも
金魚みな脂乗る水換へたれば
風鈴をきいたのかもうおわかれだ
バビロンの法の重さの星流る
死者たちの投票用紙落葉焚
鮫の皮剝がす全身タイツのごと
アフガンの起伏に富める蒲団かな
撃たれ吊され剝かれ剖(ひら)かれ兎われ
湯豆腐やひとりのときは肉いれて
配膳ワゴン全段雑煮隔離病棟へ
ヨーグルトに蠅溺死する未来都市
※本書は著者より寄贈を受けました。記して感謝します。
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