『鳩の居る庭』は有原雅香(1944 - )の第1句集。「序」に代えて:鈴木明、跋文:岡田路光。
著者は「野の会」同人。
下萌えの山おおらかに大文字
曲り家はがらんど鷹の爪一本
顔のある小石ピカソの朱い夏
大蟻が祈りの素振り石の上
ヒルズ発情大夕焼けの真正面
モディリアニの絵の瞳孔の穴惑
万緑の中に母置く母眩し
一日を由紀さおり聴く秋ですね
平凡の凡の字コロッケ食む朧
巻き貝にゼフィロスその日の春の海
あやうきに慣れる危うさ蚊喰鳥
向日葵が少年兵の顔になる
冬団欒見て聞いている大黒柱
夕焼けは安堵する色加齢 今
傾斜する日本の闇やませ吹く
※本書は著者より寄贈を受けました。記して感謝します。
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