2020年12月
私家版
『点眼一滴』は小西あくあ(1947 - )の第1句集。
著者は「刈安句会」同人。
点眼一滴睡蓮の音聴こゆ
陽炎やかつて空飛ぶ象のゐて
家朽ちるまでひたひたと赤椿
さみだるる象形文字を書くをんな
心臓は怒りのかたち五月闇
インディゴブルー虚空界を泳ぎたし
あめんぼは少年が好き雨が好き
白夜なり一人の舟は黄泉(トゥオネラ)へ
海賊といふ名の船出白夜かな
ふるさとのあそびはすべて跣だった
底紅や友は棺に隠れゐる
ハロウィンの衣を脱ぎて透明に
鬼遣らひ泣く声に乳溢れをり
大雪に戀しんしんと包囲さる
ざんざんと母の翳りを受く雨月
※本書は著者より寄贈を受けました。記して感謝します。
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