『すみれそよぐ』は神野紗希(1983 - )の第3句集。
著者は現代俳句協会青年部長。
うちにおいでよ汗くさくてもいいよ
牡蠣グラタンほぼマカロニや三十歳
パジャマかつめがね日曜しかも春
子規全集ひらく夏柑割くように
白アジサイ妊娠検査薬+
抱く便器冷たし短夜の悪阻
秋風か呼吸かモノクロの胎児
目覚めれば今朝も妊婦で木瓜に雪
春光に真っ直ぐ射抜かれて破水
すみれそよぐ生後0日目の寝息
産み終えて涼しい切株の気持ち
眠る間も母乳湧きつぐ雲の峰
綿虫や子の眼球の仄青く
子が蟻を踏んできょとんと死ぬって何
一階に夫二階に冬の虹
※本書は著者より寄贈を受けました。記して感謝します。
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