『此処』は池田澄子(1936 - )の第7句集。
著者は「トイ」「豈」所属。
プロメテウスの知らぬ火いかに春寒し
雲に入る月に呼ばれたような気が
可燃ごみの袋に透けて我がマフラー
玄関は道を恋いつつ初しぐれ
なんとなく開けし障子や閉めにけり
日あまねし帰る鳥らにオスプレイに
カーブミラーにぽつんと我や夜の小雪
三月寒し行ったことなくもう無い町
冷蔵で供花着くメッセージも冷えて
柚子咲いてあなた中有は明日まで
死ねば居ずソフトクリーム溶けて垂れる
Wi-Fiの飛ぶの飛ばぬの敗戦日
送り火のほら燃え尽きる燃え尽きし
ショール掛けてくださるように死は多分
生き了るときに春ならこの口紅
※本書は著者より寄贈を受けました。記して感謝します。
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