「むじな」(編集発行:浅川芳直)第3号(2019年11月)から。
各人1句ずつ。人によっては既発表句も入っている模様。
Ⅰ
香水のほのか夜景に背を向けて 浅川芳直
流星や断想ひとつ理解せり 有川周志
紫陽花の青遡る帰郷かな 一関なつみ
夢でわたしを食べたクジラは街へ街へ 岩瀬花恵
串刺しで回るよ蛸の足八本 うにがわえりも
弟の寝癖ほわほわ御慶とす 及川真梨子
BSを観ている夜や蛇の舌 工藤 吹
床つめたしいまごろきれい天の川 工藤玲音
Ⅱ
カヌレあと二個新涼のショーケース ささきまきこ
新調の夏服青く芝居観る 漣波瑠斗
入梅や絵本を廃棄する仕事 佐藤友望
氷菓すくう君の鎖骨のややへこむ 佐藤 幸
大くさめ惑星探査機のロスト 佐藤里香
まはし見るモローの画集桜桃忌 島貫 悟
白息と気づくひとりになってから 菅原はなめ
のさのさと猫が向かうは草の花 杉山一朗
稲の香が包むや銀河鉄道駅 須藤 結
Ⅲ
砂利踏むとからだの沈む玉椿 相馬京菜
ベランダの灰皿に慈雨溜まりけり 高橋 綾
初雪や天使を量産する絵筆 谷村行海
子らの声めがけて霙降ってくる 千倉由穂
曇天や血の色に似る海水着 茶摘屋七丸
ワーグナー弾き終へ友と卒業す 天満森夫
鳥渡る空に光を与へつつ 戸澤優子
オリオンの跡を残して指と窓 樋野菜々子
時計ごとのはたらきかたの深雪かな 村上 瑛
日本に火山多くて水羊羹 吉沢美香
コメント
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