『詩の欠片』は向瀬美音(1960 - )の第1句集。序文:山西雅子。著者自身による句の英仏訳も収録。
著者は「HAIKU Column」主宰、「舞」会員。
春めきてまづ姿見を買ひにけり
純白のシーツの軋み春の昼
潮騒を籠めて畳むや春日傘
草原を裸足で歩く地球の日
くるぶしに雀隠れの雨の粒
詩の欠片大西洋に拾ふ夏
名盤を知り尽くす人夏の月
二人だけの砂の足跡夏の雲
何か言つて白シャツ着せてあげるから
滴りやルルドの地図を広げたる
滴りを纏ひをんなの出来上がる
緑蔭の光の欠片ラヴェル聴く
オーボエを吹く俳人や処暑のパリ
さまざまな瞳の集ふ夜学かな
ぽつぺんに殉教の音海の音
※本書は著者より寄贈を受けました。記して感謝します。
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