『遠くの声』は藤本夕衣(1979 - )の第1句集。帯文:中嶋鬼谷
著者は「晨」同人。
けふ眠るところ氷柱のあるところ
厚き本ひらき落葉の溜まりをり
ボストン
ここもまた学問の街春の川
地面よりつめたき風や蝸牛
木の影のまじはらずあり更衣
『田中裕明全句集』
月見草どこ開きても静かなり
秋の日のプラスチックのおもちやかな
鳥もまた土へとかへる星月夜
子どもらにひとだまの出る大枯木
金柑の一樹に犬の老いにけり
全集の一冊をぬき避暑の旅
花婿の父の酔ひたる涼しさよ
真青な空のなかへと泳ぎけり
野良猫の頭よせあふ草の花
講堂のしづまり大き蟻のくる
※本書は著者より寄贈を受けました。記して感謝します。
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