『現在』は我妻民雄(1942 - )の第2句集。序文:高野ムツオ。
著者は「小熊座」同人。
海市いな鉞の刃が波の上
その裏は黄金色なり梅雨菌
平らかに昼寝の翻車魚(まんばう)見にゆかん
落葉焚はうきに幼女またがりて
悼 大森和子
多島海ひとりの渚寒からむ
老人はサイボーグ的小鳥来る
動きつつ薄氷は無に千曲川
ヴィーナスの鼻梁の曲り梅雨に入る
白骨の母わづかなり秋の雨
箒目の高空があり雁渡る
そらを彷徨うて花屑にはならぬ
蒲団より手が出て大活字本めくる
印画紙の男みな死に桃の花
単線は空に繋がりつづれさせ
悼 平松彌榮子
鶴ほどのかろき柩を運びけり
※本書は著者より寄贈を受けました。記して感謝します。
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