「人形舎撰句帖」は高橋龍の選句集。
辞して来し家灯りぬ秋の暮
雪嶺去る卓布真白の食堂車
長男死す五才。
いすかたも花散る春のあけぼのに
二十一箇の桃を投げ込む夢の穴
持ち重る姉の乳房や五月雨
あぢさゐに姉の児(俺の児)を埋める
古池を島耕作は考へる
其里程自大鴉至大玻璃板(ポオをでてデュシャンにいたるみちのりや)
建速須佐之男(すさのを)や天照大御神(きれいなおねえさん)は好きですか
睡蓮(ひつじぐさ)あまたのあたま浮かびつつ
少年の枕詞は「殺される」
かたくりや上総の乳母を八つ裂きに
船燒き捨てられし/船乗(われわれ)も/ /泳ぐかな
人形の目玉蒐めの年も暮れ
月光旅館/時間の泊まる部屋がある
※本書は著者より寄贈を受けました。記して感謝します。
最近のコメント