『金輪際』は池田瑠那(1976 - )の第1句集。序文:小澤實。
著者は「澤」同人。
東京に曠野(あらの)のにほひ夕立中
桜より燃えうつる火やおのれへと
宇宙船凍つライカ犬乗せしまま
焼けるもの塩のまばゆき大暑かな
よくとほる声に名呼ばれ卒業す
草の浪丘を越えゆく良夜かな
竜宮城洗つて金魚鉢に戻す
戛戛と猟犬齧る鹿の骨
司書ひとり本繕へるさくらかな
万緑や辣油はぢきて焼餃子
ひつぺがす網戸攀ぢんとする猫を
以下《夫、輪禍に遭ひ、二日後に他界。二十二句》から二句
患者IDタグも遺品や青葉光
葉桜や鋲に閉ぢたる検視創
雪のコンビニエンスストアに出汁にほふ
我よりの賀状も君が遺品なる
※本書は著者より寄贈を受けました。記して感謝します。
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