『記憶における沼とその他の在処』は岡田一実(1976 - )の第3句集。帯文:金原瑞人、跋:青木亮人。
著者は「らん」同人。
火蛾は火に裸婦は素描に影となる
蟻の上をのぼりて蟻や百合の中
喉に沿ひ食道に沿ひ水澄めり
蠟燭と冷たき石の照らし合ふ
歩きゐて動く歩道や鳥の恋
煮魚の涼しき骨を展げけり
照らされて多条の雨や祭の夜
宗教に西瓜に汁の朱さかな
焼鳥の空飛ぶ部位を頂けり
田作りの艶に冷えゐて食はせ合ふ
常闇を巨きな鳥の渡りけり
ヘッドライトに入りて螢や脚の見ゆ
田は雨に酔ふべかりけり梅雨鯰
冷蔵庫牛の死肉と吾を隔つ
体内を管は隈なし百千鳥
※本書は著者より寄贈を受けました。記して感謝します。
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