『るん』は辻村麻乃(1964 - )の第2句集。序文:筑紫磐井、跋文:岩淵喜代子。
著者は「篠」編集長、副主宰、「ににん」創刊同人。
花篝向かうの街で母が泣く
春嶺や深き森から海の音
舳先より展がりゆける花の闇
薪能トンカトンカと舞ひにけり
フラミンゴ呼び合ふ沼や木下闇
パードレの如き男と夏の山
首塚に向き合ふデスク大西日
思春期や怒つた顔で薔薇を買ふ
月の暈土管に声の響きをり
鰯雲何も赦されてはをらぬ
娘てふ添ひ難きもの鳥渡る
帰りたいと繰り返す母冬夕焼
秩父町爆破するごと冬花火
初鏡幼女うつとり髪梳きて
血痕の残るホームや初電車
※本書は著者より寄贈を受けました。記して感謝します。
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