『夏のゆくへ』は鈴木節子(1932 - )の第1句集。序文:能村登四郎、跋文:林翔。
原著は牧羊社、1982年。
著者は「門」主宰。
薪束の胴締め寒のにはかなり
たんぽぽの絮の一つが部屋に棲む
枯山に向くほかはなし藁の家
敗者にはならず大根厚く煮る
もの焦げし匂ひに続く白炎天
潮騒をしたがへて来る紺水着
寒流のごと男来て鍬つかふ
みじろぎの母の一韻年果つる
シクラメン拍手が急に欲しくなり
紅葉より坂のはじまる陶の町
仏見し眼ばかりと逢ふ梅の昼
祝ぎ事のごと鯉とどく夕霞
桃の花ひもじき昔誰も持ち
咳込んでしばらく白きなかにゐる
穂絮とぶ水引の黒買ひに出て
※本書は著者より寄贈を受けました。記して感謝します。
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