『遠い目で咲く』は徳森凉子(1935 - )の第1句集。
著者は「形象」会員。
3・11へ遠い目で咲く白つばき
蓮華野にぽろぽろと聞く父のこと
君は逝く雲母(きらら)の種子を手渡して
蟷螂が居るしずかに日が暮れる
胡蝶蘭秘密のページあるという
ヒトで在ることが寂しい桜満開
あゝ蜉蝣うすむらさきの風の中
日暮れまで平安時代に居ますので
観覧車元素が順に乗りに来る
桜島が診察に来る朝の窓
大空へ古今集諳んじる土筆
この世から逃げてみないか“アイウエオ”
一瞬の光芒として在ればいい
桜さくら天の海へと枝伸ばす
この森に今も住んでる幼い子
※本書は著者より寄贈を受けました。記して感謝します。
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